
チームがコンフリクトにどのように対処しているかを知ることは、チームの状態を捉えるための重要な「手がかり」になります。
今日は、チームの成熟過程におけるコンフリクトマネジメントの位置づけを整理していきたいと思います。
チームの成熟過程を俯瞰的に捉えるモデルとして有名なのが、米国の心理学者B.W.タックマンが1965年に提唱した
「タックマンモデル」です。
このモデルでは、チームは以下の4つのフェーズを経て成長していくとしています。
※正確には1977年に5つ目のフェーズ「解散期(Adjourning)」が追加されましたがここでは省略します。

1、形成期(Forming):
メンバーが集まったばかりで、お互いのことをあまり知らない段階。
まだお互いがどの程度信頼できるのかも分からず、不安と緊張があり、
本音の議論はされていないステージ。
2、混乱期(Storming):
目的や目標の設定、ルールづくり、仕事の進め方や役割分担などに関して
お互いに率直に意見を言い合うことで、メンバー間のコンフリクトが生じ、緊張が高まります。
コンフリクトマネジメントが最も求められるステージ。
3、形成期(Norming):
チームとしての行動規範が形成され、目的や目標が定まり、役割分担も明確になり
チーム内の関係性が安定するステージ。
4、機能期(Performing):
チーム内の結束が高まり、スモールウィンを積み重ねることで、信頼関係が醸成され
目標達成に向けて、自律的に行動を発揮するステージ
ポイントは「混乱期」にあります。価値観が異なるメンバーが集まり、何かを達成しようとすれば、必ずコンフリクトが生じます。リスクを取ってコンフリクトと真正面から向き合うことではじめてチームは成熟に向かっていくんだということを教えてくれる良いモデルです。
一方、医療現場で起こりがちなのは、コンフリクトが顕在化“しない”ことです。形成期と混乱期の間には心理的な“溝”(エッジ)があります。人間関係が破たんするかもしれないという恐れから、本音を誰も口に出来ず、混乱期に踏み込めていないチームが少なくありません。
しかし、コンフリクトをテーブルの上(公式の場)で扱わなければ、必ずテーブルの下(非公式の場)に潜ります。つまり、他部署への不満が居酒屋で話されたり、休憩室での個人バッシングが横行するといったことが常態化していきます。
これが派閥を強化し、結果、メンバー間の感情的対立を拡大させ、互いの信頼関係を破壊していきます。
コンフリクトに直面しないことによる弊害は意外に大きいのです。
様々な価値観を持ったプロフェッナルが集まった多職種医療チームにおいて、コンフリクトを扱う力は最重要スキルの一つです。
参考記事:
・「コンフリクトに対する5つの『反応パターン』~シュミットの葛藤処理モデル~」
・「意見の対立は悪いもの?怖いもの?~コンフリクトの『効用』について」
守屋文貴
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