医療機関には、プレーヤーからマネージャーへの「移行」を支援する仕組みが必要 | 医療特化型の研修・組織開発ならアクリート・ワークス

医療機関には、プレーヤーからマネージャーへの「移行」を支援する仕組みが必要

トランジション
「仲間の存在が急に遠く感じるようになった」

「あるメンバーを満足させようとすれば、別のメンバーから不満が出る、板挟み状態だ」

 

 

これらは、医療機関の管理職研修で良く耳にする言葉です。

 

 

プレーヤーがマネージャー(管理職)になる際には、求められる役割が大きく変化します。今日は、医療機関における「移行期(トランジション)」の課題について考えていきたいと思います。

 

 

まず、管理職になると、「孤独との闘い」が求められるようになります。今まで仲間だったメンバーに対しても厳しい内容を伝えなくてはいけないこともあります。時には「嫌われ役」にならなくてはいけません。そのためメンバーとの関係性は多少のぎこちなさを伴うものに変化せざるを得ないのです。

 

 

また、業務においても、プレーヤーのときには経験しなかったような「答えのない業務」が増えてきます。具体的には、「フルタイムのメンバーと時短勤務のメンバー間の対立」や、「なるべく不満が出ないように勤務シフトを組むこと」といったようなモヤモヤするものばかりです。プレーヤーのときとは異なり、自らが責任を持って意思決定しなければならないことがストレスになります。

 

 

このように、プレイヤーから管理職になる「移行(トランジション)」には、「関係性の変化」という意味でも、「業務における複雑性の増大」という意味でも「痛み」を伴います。

 

 

そして、これは「住み慣れた村(安全領域)」から、「未開のジャングル(挑戦領域)」に足を踏み入れるようなもので、誰でも不安で足がすくみます。その不安を乗り越え、「痛み」を引き受けるためには「気持ちの切り替え」が必要なのです。

 

 

しかし、多くの医療機関ではそのような「気持ちの切り替え」を支援する“仕組み”が不足しているのが現状です。

 

 

そのため、どうしても新任管理職はプレーヤー意識から中々脱却できません。心理的に「住み慣れた村(安全領域)」にとどまりがちです。新任管理職研修では、参加者から「管理職は連絡係くらいに思っていました」というコメントは高頻度で出てきます。医療機関においては、管理職が管理職本来の役割を果たすようになるまでに時間がかかるのです。

 

 

そしてこれは、組織に悪影響を及ぼします。

 

 

例えば、管理職に「組織全体のつなぎ役」としての役割認識が醸成されていないと、本来は経営と現場の中間にあるべき立ち位置が現場サイドにシフトしていきます。「仲間から嫌われたくない」からです。

 

 

その結果、管理職が、自部署の利益の「代弁者」になってしまいます。すると、部署間の調整機能が損なわれ、組織全体としての最適を図ることが難しくなっていくのです。

 

 

これは新任管理職の「個の責任」ではなく、プレイヤーから管理職への「移行(トランジション)」を支援する仕組みを用意していない「組織の責任」だと感じます。

 

 

では、どうすれば新任管理職の「気持ちの切り替え」をしてもらえるのでしょうか?

 

 

一つの鍵は、少し怪しい表現ですが(笑)、「儀式」だと思います。

 

 

私たちは、人生においていくつかの「移行(トランジション)」を経験していきます。例えば、小学生から中学生、中学生から高校生になるとき、高校生から大学生になるとき、大学生から社会人になるとき・・・・・など。

 

 

そして、その節目節目では、必ず「卒業式」「入学式」がありました。このような「儀式」によって、私たちは古い世界から決別し、新しい世界へ足を踏み入れるための、心の準備をしていくのではないかと思います。同じように、プレイヤーからマネージャーになるときにも「儀式」は必要ではないかと思うわけです。

 

 

具体的には、良質な「新任管理職研修」には、単なる知識の授受だけではなく、そのような「儀式」としての意味が内包されています。そしてそれは、形骸化した研修ではなく、血肉の通った研修でなくてはなりません。つまり、「納得感」を持って管理職を引き受けようと思えるかどうか、がポイントです。

 

 

最後に、管理職になってもらうことは、組織の「ジレンマ」を引き受ける立場になることでもあります。管理職へのリスペクトを忘れてはならないと思います。管理職に役割を押し付けるだけではなく、組織としては、管理職がそのマネジメント力を高める機会と、精神的に支える仕組みを提供する姿勢が求められるのではないでしょうか。その支援があれば、管理職は管理職としての「やりがい」を見出しやすくなるはずです。

 

 

このような基盤を整備することは、組織そのものの魅力を高め、意欲あるスタッフを集める一助にもなるはずです。

 

 

守屋文貴

 

 

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    医師、株式会社アクリート・ワークス代表パートナー
    医療機関を対象としたマネジメントスキル研修を実施している。

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