
管理職(マネージャー)の役割を、一言で言うと?
管理職研修でこんな問いを投げかけると、色々な答えが返ってきます。
「物事が滞りなく進むようにする人」
「調停役」
「責任者」
「改善をする人」
「連絡係」 などなど
これらは全部正しいのですが、管理職の役割の本質をズバリ言い当てられているかというとちょっと疑問です。ちなみに、先日の研修で思わず笑ってしまったのは、「損な役回りを全部引き受ける人」という答えでした。確かに、そういう一面はありますよね(苦笑)。現場の矛盾が集中しやすいポジションですから、
さて、管理職の心得について書かれた本にはたいてい以下のように書かれています。
「部下を通じて物事を成し遂げる人」
このことをお伝えすると皆さん納得した顔をします。
特に医師を中心として医療職は職人気質が強いですから、診療部長などのポジションについたとしても、なかなか手術などを人に任せることが心理的に難しい傾向があります。しかし、いつまでも管理職(マネージャー)が現場仕事を自分で抱え込んでしまうと、チームのパフォーマンスはすぐに頭打ちになります。管理職が、自分しか出来ない仕事を減らし、部下に仕事を任せていくことは大切なことです。
一方で現代において、この「定義」はあまりしっくりこなくなっているな、とも感じます。上から下へという「ヒエラルキー構造」を連想させるからです。複雑な業務であればあるほど、管理職が一方的な指示命令でメンバーに業務を渡していることはむしろ少ないはずです。ティーチングやコーチング、メンタリングなどさまざまなコミュニケーションを通じて、管理職とメンバーがコラボレーションしながら模索していくことが求められるようになっていています。
さらに医療や介護の世界において、純粋なマネジメント業務に徹することができる管理職はほんの一握りです。医療や介護の世界では、なかなか「自分で動かない管理職は評価されない」傾向もあるように思います。特に看護師さんの世界では、優秀な管理職の多くは現場で一緒にメンバーとともに働き、コミュニケーションを取りながら信頼を獲得している印象があります。
ピーター・M・センゲは「学習する組織とは、未来を創り出す能力を持続的に伸ばしている組織である」と著書の中で書いています。
その言葉を借りるならば、管理職の役割とは、「チームの未来を創りだすための能力を持続的に伸ばしていくことである」と表現することも出来るかもしれません。もしくは、「チームの学習能力を持続的に高め続けることである」とか。
いずれにせよ、管理職の皆さんひとりひとりが自分なりの言葉で自分の役割を表現していくことが重要だと思います。自分にフィットするような言葉が見つかるように支援することが研修講師としての役割の一つだと考えています。
守屋文貴
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