(1)「効果的」な研修やセミナーを企画するための視点~「氷山モデル」で問題を紐解く~ | 医療特化型の研修・組織開発ならアクリート・ワークス

(1)「効果的」な研修やセミナーを企画するための視点~「氷山モデル」で問題を紐解く~

研修やセミナーでは、医療現場の貴重なリソースである「時間」を投資するわけですから、できるだけ「効果的」な企画を立てたいものです。

 

 

ところが、医療機関では研修やセミナーが「場当たり的」に企画されていたり、「担当者の直感」でテーマが選択されていることも少なくありません。

 

 

例えば、以下のようなやりとりは良く見るパターンの一つです。

 

 


・病院の研修担当者:

「先日実施した職員アンケート調査の結果で、主任クラスのモチベーションが大きく低下していることが分かりました。私の目からも、彼らには自部署の問題を主体的に解決していく姿勢が欠けているように見えます。

 

 

この層の底上げをしないと、病院の未来はありません。主任クラスのモチベーションを高めるためのリーダーシップ研修を実施したいと思っています。」

 

 

・研修会社:

「了解しました。主任クラスのモチベーションアップを目的とした研修ですね。次回までに企画書をお持ちします。」

 


 

 

冷静に考えれば、誰もが「本当にそれでいいの?」とツッコミを入れたくなると思うのですが、このような研修企画には高頻度でくわすように思います。

 

 

では、この問題に対する打ち手として、「主任対象のリーダーシップ研修」は適切なのか、「氷山モデル」を使って考えてみましょう。

 

 

「氷山モデル」(下図)は、複雑な問題を紐解いていくための良いツールです。水面の“上”に出ているのは、顕在化している「事象」です。そして水面の“下”には、その事象を引き起こしている「原因構造」が隠れていると考えます。

 

 

 

トランジション3

 

 

※補足:本来の「氷山モデル」は、事象/パターン/原因構造/メンタルモデルの4層で捉えます。詳しく知りたい方は「システム思考」について勉強してみてください。

 

 

「氷山モデル」で考えると、この研修企画の問題点は、水面“上”にある「主任クラスのモチベーション低下」という事象に対して、「“反射的”な打ち手を選択していること」だと誰の目にも明らかになります(下図)。

 

 

トランジション1

 

 

もちろん研修企画を立てる上で重要なのは、水面の“下”にフォーカスを当てることです。

 

 

「何が主任クラスのモチベーションを低下させているのだろう?」という問いを立てると、水面の“下”にある「原因構造」が見えてくるのです。

 

 

例えばですが、ヒアリングなどをしていくと以下のようなことが分かってきます。

 

 


1)主任への業務負荷の重さ

 

 

新人の教育体制が未整備なために、新人が一人立ちするのに時間がかかり、その結果主任クラスへの業務負荷が重くなり、肉体的にも精神的にも疲弊している。

 

 

2)幹部クラスから部門目標がしっかり共有されていないこと

 

 

そもそも幹部クラスが病院の方向性について理解も共感もしておらず、師長や主任に対してそれを咀嚼して伝えることが出来ていない。当然、主任クラスも部門目標について理解していないし、腹落ちもしていない。

 

 

3)師長のトップダウン型リーダーシップによってチームの文化が受け身に

 

師長クラスのリーダーシップがトップダウン型であるために、主任クラスが現場目線に立った提案をしても却下されることが多く、チームの文化が受け身になっている。さらに何らかの提案をすると、実行責任が発言者に押し付けられる文化があり、「余計なことをすると損をする」という雰囲気が出来ている。

 


 

 

このように水面の“下”を覗いてみると、様々な要素が複雑に絡み合って、「主任のモチベーション低下」という問題を引き起こしていることが分かってきます。

 

 

さらに、ここで押さえておきたいのは、水面の“下”にある原因構造を紐解いていくと、様々な「介入できるポイント」が見えてくるということです。

 

 

トランジション2

 

 

例えば・・・・

 

 


1)に対しては、新人の教育体制を整備した方が良いのではないか?

 

 

2)に対しては、幹部クラスを対象に組織の現状や方向性を共有するためのワークショップを開催した方が良いのではないか?

 

 

3)に対しては、師長クラスを対象としたリーダーシップ研修を実施すべきなのではないか?


 

 

といったように、視野を広げれば広げるほど、思ってもみなかったような打ち手を見出しやすくなるのです。

 

 

ちなみに最も効果的な介入点は、問題が生じている部位とは「時間的にも空間的にも離れた場所にある」と言われます。当初想定していた研修やセミナーではなく、もっと別の打ち手が見えてくることもよくあります。

 

 

研修やセミナーの企画を考える際には、まずはこの「氷山モデル」を大きくホワイトボードに書くと良いと思います。そして、水面の“下”にフォーカスを当てて「ここで何が起きているのか?」と問いかけてみましょう。参加者の視野がパッと広がっていくのを感じることができるかもしれません。

 

 

トランジション3

 

 

 

最後に、この「氷山モデル」は、私たちの視野を大きく広げてくれるだけではありません。場を「何が正しいか?」という“議論モード”から、「何が起きているのか?」という“対話モード”へシフトさせてくれることも大きな副次効果の一つです。

 

 

守屋文貴

 

 

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    医師、株式会社アクリート・ワークス代表パートナー
    医療機関を対象としたマネジメントスキル研修を実施している。

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