「みんなで話し合うこと」の3つの落とし穴とは?~病院の会議で起こりがちなこと~ | 医療特化型の研修・組織開発ならアクリート・ワークス

「みんなで話し合うこと」の3つの落とし穴とは?~病院の会議で起こりがちなこと~

otoshiana

 

「みんなで話し合うこと」には多くのメリットがあります。

 

 

多職種でワークショップを行えば、参加者どうしのタテヨココナナメの関係性も深まりますし、モチベーションも上がります。思ってもみないようなアイディアが創発されることも魅力です。

 

 

しかし、リーダーもしくはファシリテーターとして、気を付けておきたい「落とし穴」もあります。今日はそれを3つご紹介したいと思います。

 


 

落とし穴その1:「集団的視野狭窄」

 

 

特に同質性が高い集団での話し合いの場で起こりやすいのですが、必要な視点がすっぽり抜け落ちてしまうことがあります。

 

 

例えば、病院のビジョン策定プロセスにおいて、現場の意見を聞くために、「どんな病院にしていきたいか」というテーマでワールドカフェ(対話手法のひとつ)を実施したとします。

 

何も考えずに実施すると、アウトプットに偏りが産まれれがちです。。

 

ほとんどが「職員満足度が高い」「給料が良い」「残業がない」といった内向きの視点で、「地域に貢献する」「新しいサービスを創る」といった外向きの視点はあまり出てきません。。。

 

 

病院の組織文化はもともと安定志向が強く、外部環境に意識が向きにくいという特徴を持っているので、院内スタッフのみで対話をすると「集団的視野狭窄」に陥りやすいのです。

 

私自身は、

 

・参加者の多様性を確保する

性別、立場、年齢、職種・・・など参加者の多様性を確保する。時には、患者や患者家族にも参加してもらう。

 

 

・参加者の視野を広げるための機会を事前に設ける

例えば、自らの患者としての体験を話すなど患者視点を持ってもらうためのワークを取り入れたり、地域の現状と展望を俯瞰的に理解するための講義を受けてから話し合う。

 

といった工夫をしています。

 

 

 

落とし穴その2:「リスキーシフト」

 

 

リスキーシフト(risky shift)とは、社会心理学の用語で「個人であれば犯さないような間違いを集団の中では、次第に危険度(リスク)の高い方向に言動が傾斜していく事(Wikipedia)」です。

 

簡単に言ってしまうと、「赤信号みんなで渡れば怖くない」的な状態を言います。

 

 

この原因としては、皆で話し合っていると、「興奮状態になり、つい気が大きくなってしまうこと」「責任感が薄れてしまうこと」などが挙げられます。

 

これを防止するためには、リーダーやファシリテーターがそこに巻き込まれず、

時には、「それを行ったときにどんな弊害やリスクが生じうるか」、「それに対してどう対処するか」といった問いかけをしていく必要があります。

 

 

一方で、この心理には肯定的な側面もあります。スタッフが「余計なチャレンジはしたくない」と思っているような安定志向が強い組織では、あえてワークショップなどで理想論や高い目標について話をしてもらうことで、組織に“揺らぎ”を与える機会にすることも可能です。

 

 

 

落とし穴その3:「同調圧力」

 

 

「同調圧力」とは、「場から受ける無言のプレッシャー」のことで、同調圧力が強いと少数派の意見が封印されたり、多角的な検討がないまま意思決定がされてしまいます。

 

「場の論理」が強く働きやすい日本人にとっては、お馴染みのものかもしれません。。。

 

 

例えば、次のような光景は日本の病院でも多発しているのではないでしょうか、、、 苦笑

 

 

会議などで、声の大きい人が「もうA案で決めちゃおうよ」と提案をします。その後、司会者が「それでは、皆さんA案でよろしいでしょうか?」と問いかけます。そうすると、会場は「しーん」としてしまい、誰も発言しません。そして驚くべきことに、案の実効性について大多数が疑問を持っていたとしても、その案が通ってしまう・・・・・・汗

 

このようにいったん空気が出来てしまうとそれに逆らって、個人の意見を表明するということは、日本人にとっては心理的抵抗を強く感じることなのです。不祥事が組織で起きていても、中々自浄作用が働かないのはこのような心理が働くからというのも一因だと言われいます。

 

このようなことを防止するためにはどうすればよいのでしょうか。

 

 

一つは、「対案を必ず出す」というルールを共有しておくことです。

 

レッドチーム思考 組織の中に『最後の反対者』を飼う」という本の中には、敢えて反対者や敵役を演じるアクターを雇うことで組織の問題点を抽出する手法が紹介されています。

 

このように、批判的な視点や耳に痛い意見を場に出していくという工夫と習慣づけは、とかく雰囲気に流されやすい日本の組織に必要なことだと思います。

 

 

もう一つ、おススメは「グループサイズを変える」ことです。

全体で話すよりも、数人ずつに分かれて話し合ってもらうことで、心理的ハードルが下がり、多様な意見を場から引き出しやすくなります。

 


 

 

みなさんの組織やチームでもこのようなこと、起きていないでしょうか?

 

 

たぶん大なり小なり起きていると思います 笑

 

 

いずれにせよ大切なことは、リーダーやファシリテーターが、このような落とし穴の存在を知っておくこと、そしていまこの瞬間にも集団心理が働いているかもしれないという「アンテナ」を立てておくことだと思います。

 

 

そのような意識を持っておくことで、雰囲気に呑まれずに、場に介入するタイミングをつかまえることができるようになると思います。

 

守屋文貴

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    医師、株式会社アクリート・ワークス代表パートナー
    医療機関を対象としたマネジメントスキル研修を実施している。

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